親のための完全導入マニュアル

日記からつくる、わが子のバイブル(oya-iru-wiki)/ このページは配布物同梱の Markdown 版から生成しています

この記録テンプレート(oya-iru-wiki)を「ゼロから導入し、毎日の子育ての中で使う」までを1冊にまとめた完全ガイドです。

最終更新: 2026-09-05 / β版


目次


このマニュアルの読み方

AI ができること ご自身の手が要ること
フォルダの中を見て、必要なファイルが揃っているか確かめる アプリのインストール(管理者パスワードの入力)
エラーの文字を読んで、何が起きているか日本語で説明する ライセンスの同意ボタンを押す
次に何をすればよいかを、いまの状態に合わせて案内する ボタンを押す・文字を貼る・最後の判断

なぜ全部を任せられないのか。 アプリの導入には、パソコンの管理者パスワードの入力と、ライセンスへの同意が含まれます。この2つは AI が代わりにやってはいけない操作です。ここだけは必ずご自身で。


全体の道のり

いまどこにいるかを見失ったときは、ここに戻ってください。

【初回だけ・30分〜1時間】
  第2章  準備を確かめる(Obsidian・AI の契約)
    ↓
  第3章  記録の入れ物を置く(+外に漏れる道を断つ)
    ↓
  第4章  AI とつなぎ、受付箱を作る     ← ここがやま場。AI に手伝ってもらえます
    ↓
  第5章  動作確認と、お子さんの登録

【毎日・1分】
  第6章  AI に「今日こんなことがあった」と話す。それだけ

【月に一度・自動】
  第7章  AI が日記と書類を整理し、承認を求めてくる。見て「いいよ」と言う

【困ったとき】
  第11章  トラブルシューティング(まず 11-0 を読んでください)

第1部 知る

第1章 この仕組みは何をしてくれるか

1-1. ひとことで言うと

あなたが話した「今日のこと」を日記として積み重ね、それを、いつかお子さんの隣に立つ支援者のための「バイブル」に育てる仕組みです。

親には「うちの子は、こうすれば伝わる」「これが嫌で、あれが好き」という、言葉にしないまま身についた膨大な知恵があります。それは書類のどこにも載っていません。この仕組みは、その知恵を日記という一番小さな単位で受け取り、AI が整理して、本人のことは本人が決める、を支える人たち(意思決定支援者)が読める形に編んでいきます。

1-2. あなたがすること・AI がすること

あなたがすること AI がすること
「今日こんなことがあった」と話す(1行でよい。話さない日があってもよい) 話を「あったこと(事実)」と「おもったこと(親の思い)」に聞き分けて日記に書き留める
園・学校からの書類を受付箱に入れる 書類を読んで、棚に仕分けて保管する
月に一度、AI の整理案に「いいよ」「そこは違う」と答える 日記の中から「選んだ場面」「うまくいった関わり方」「好き・苦手のきっかけ」を拾ってページに編む
「この子は、こう伝えれば分かる」というプロファイル(こえ)を育てる

ファイルを作る・書式を守る・整理する、はすべて AI の仕事です。 あなたが書式を覚える場面は、導入から運用まで一つもありません。

1-3. たいせつな約束 — 事実と思いを分けて受け取る

この仕組みがあなたにお願いする規律は、実はたった一つです。それも「守ってください」ではなく「AI が聞き分けるので、安心して両方話してください」という形です。

なぜ分けるのか。親の思いが、本人の事実として記録されてしまうことを防ぐためです(この仕組みの一番深い約束です。purpose.md A-10)。そして同時に、分かれているからこそ、思いは検閲なしに何を書いてもよくなります。愚痴も弱音も迷いも、この記録の資産です——将来の読み手は「親がどう受けとめてきたか」からも本人を学びます。

1-4. AI は必要です。ただし、特定の AI 会社には縛られません

この仕組みは AI に日本語でお願いする前提で設計されています(AI への指示書 AGENTS.md が同梱されています)。どの AI を使うかはあなたが選べます(動作確認済みの AI は README の表を参照。第2章で選び方を案内します)。

そして、AI が使えなくなっても記録は死にません。中身はただのテキストファイルで、特別な保存形式はありません。手で書き続けることもできます(導入手順.md「手動運用の下限」)。

1-5. 何が守られているか


第2章 導入前の準備と確認

2-1. パソコンの条件

項目 必要なもの
OS Mac(macOS 12 以降)/ Windows 10・11
空き容量 1 GB もあれば十分です
インターネット 導入時と、AI を使うときに必要
Python 検査の仕組みが使う道具です。いま確認しなくて大丈夫——Mac には最初から入っており、Windows で入っていない場合も、第5章の検査のときに画面の案内に沿って入れられます

2-2. 用意するもの

用意するもの 内容
Obsidian 無料のメモアプリ。記録の入れ物になります。https://obsidian.md から
AI の有料プラン 次の 2-3 の条件を満たすもの(例: Claude の有料プラン。https://claude.com )
AI のパソコン用アプリ パソコンのフォルダを AI に見せるために使います(例: Claude Desktop)
Git(任意) 変更の履歴を残す仕組み。分からなければ後回しで構いません

2-3. AI の選び方 — ここだけは慎重に

日記には、お子さんの発達・健康・行動という、最も繊細な個人情報が含まれます。AI を選ぶときは、契約の前に次を確かめてください。

確認のしかたが分からなければ、その AI 自身に「このプランでは、入力内容が学習に使われますか。オフにする設定はありますか」と聞いてください。曖昧な答えしか得られない AI は、この用途に使わないでください。

2-4. Windows の方への補足

Windows のパソコンには、検査の道具(Python)が入っていないことがあります。でも、いま何もしなくて大丈夫です。 第5章で検査を動かすときに、入っていなければ画面がそのまま案内してくれるので、そこで入れれば間に合います(くわしい手順書④ が隣について案内します)。

2-5. 導入前チェックリスト


第2部 導入する

第3章 記録の入れ物(Vault)を用意する

🤝 この章から先は、AI に横についてもらいながら進められます。先に第4章の接続を済ませてからこの章に戻ってきても構いません。

3-1. テンプレートを手に入れる

🔰 GitHub というサイトを初めて使う方は、画面の見た目から説明した くわしい手順書①「テンプレートを手に入れる」 をどうぞ(ZIP 中心・登録不要)。

方法 A(Git を使う場合)

git clone https://github.com/kazumasakawahara/oya-iru-wiki.git ~/Obsidian/oya-iru-wiki

方法 B(ZIP でダウンロード)

配布ページ( https://github.com/kazumasakawahara/oya-iru-wiki )の緑のボタンから「Download ZIP」を選んでダウンロードして展開し、~/Obsidian/ の下に置きます。

ZIP の場合、検査の仕組みの「実行の許可」が落ちていることがあります。 そのままだと関所(後述)が黙って効かなくなるので、次を一度だけ実行してください(AI に頼んでも構いません)。

bash cd <あなたのVault> && chmod 755 githooks/pre-commit scripts/*.py

3-2. Obsidian で開く

🔰 Obsidian のインストールから初回画面の操作までは くわしい手順書②「Obsidian を入れて、Vault として開く」 に一歩ずつ書いてあります。

Obsidian を起動し、「フォルダを Vault として開く」を選んで、いま置いたフォルダを指定します。左側にフォルダの一覧が出れば成功です。

なぜ必要? — Obsidian は、フォルダをそのまま「ノートの入れ物」として扱うアプリです。中身はただのテキストファイルなので、将来 Obsidian をやめても記録は残ります。なお、日記をチャットで書く運用では Obsidian を開かない日がほとんどです。読み返したくなったときの窓だと思ってください。

3-3. 外に漏れる道を断つ(最重要)

実データを入れる前に、必ず行ってください。

cd <あなたのVault>
git remote remove origin

なぜ必要? — このテンプレートは公開の場所から配られます。そのまま使い続けると、お子さんの記録を公開の場所へ送る経路が残ったままになります。経路そのものを断ちます。

関所が見張ります。 同梱の関所(pre-commit)が、「公開先が設定されていて、かつ個人のページがある」状態での保存操作を機械的に止めます。テンプレートを取ってきただけの段階では止まりません。

3-4. 関所を有効にする

cd <あなたのVault>
git config core.hooksPath githooks

Git を使わない方(ZIP で入れて履歴管理をしない方)は、この手順と 3-3 は飛ばして構いません。その場合も、フォルダを公開の場所(共有リンク・クラウドの公開フォルダ等)に置かないことだけ守ってください。


第4章 AI とつなぎ、受付箱を作る

🔰 この章が導入のやま場です。Claude のプラン契約(学習に使われないことの確かめ方)からフォルダ接続の確認まで、くわしい手順書③「Claude を用意して、フォルダを見せる」 が画面に沿って案内します。

4-1. 受付箱を作る

Vault のに、書類をいったん置くフォルダを1つ作ってください。名前はこのページからコピーして 📮受付箱 にします。📮 の絵文字は、一目で見つけるための目印です(入力がむずかしければ 受付箱 だけでも大丈夫。AI はどちらも受付箱として扱います)。

置き場所は、お使いのクラウドの中が既定です。 連絡帳の写真は多くの方がスマホで撮ります。クラウドの同期フォルダの中に作っておけば、撮った写真をスマホから直接入れられます。

作ったら、デスクトップに近道(Mac はエイリアス、Windows はショートカット)を置いてください。同期フォルダは階層が深く、あとで見失いやすいためです。探すときは今までどおりデスクトップから開けます。

クラウドを使っていない・よく分からないという方は、デスクトップに作って構いません(~/Desktop/📮受付箱)。仕組みはそのまま動きます——スマホからの直接投入だけができなくなります。

連絡帳の写真、園・学校からのプリント、療育のレポート——紙やファイルで受け取ったものは、全部ここに入れるだけです。AI が中身を読んで、適切な棚に移します。

日記はここを通りません。 日記はチャットで話すだけです。受付箱は「書類の入口」、チャットは「日記の入口」と覚えてください。

なぜ Vault の外に作るのか。 原本の置き場(raw/)は、一度入れたら書き換えも削除もしない場所です。手前に受付箱が一段あることで、置き間違いを記録される前に取り消せます。

🔰 連絡帳をスマホで撮っている方へ。 クラウドごとの作り方、スマホ側の設定、撮り方のコツは くわしい手順書⑤「スマホの写真を、受付箱に入れる」 にまとめてあります。

4-2. AI に2つのフォルダを見せる

AI のパソコン用アプリとフォルダをつなぐ仕組みを MCP(差込口) と呼びます。指定するのは次の2つです。

  1. この Vault(例: ~/Obsidian/oya-iru-wiki
  2. 受付箱(クラウドの中に作った 📮受付箱。デスクトップに作った方は ~/Desktop/📮受付箱

この設定は最初の1回きりです。

受付箱をクラウドの中に作った方へ。 画面に見えている名前と、パソコンの中での「本当の住所」が違うことがあります(iCloud Drive がその代表で、~/Library/Mobile Documents/com~apple~CloudDocs/📮受付箱 のような長い文字列になります)。ここで指定するのは本当の住所のほうです。分からなければ AI に「iCloud Drive の中の受付箱の本当のパスを調べて、あなたの設定に追加して」と頼んでください。クラウド別の住所はくわしい手順書⑤にあります。

設定の文字列は、AI 自身に作ってもらえます。 「filesystem の差込口を、この2つのフォルダで設定したい」と頼めば、貼り付ける内容を出してくれます。ご自身の手が要るのは「押す・貼る・打つ」だけです。

いちばんつまずくのは「完全終了」です。 設定はアプリを完全に終了して起動し直すまで反映されません。ウィンドウを閉じるだけでは終了していません——Mac は command + QWindows は「×」で閉じても画面右下のタスクトレイで動き続け、しかもアイコンは「^」印の中に隠れています。確実な終了のしかた(タスクマネージャーを使う方法まで)はくわしい手順書③にあります。

4-3. つながったか確かめる

AI に、こう聞いてみてください。

「Vault のフォルダの中身を見て、raw の下にいくつ棚があるか教えてください」

「8つ」と答えが返れば成功です。答えられない場合は 11-4 へ。


第5章 動作確認と、お子さんの登録

5-1. 検査(lint)を初めて動かす

🔰 「ターミナル」「黒い画面」が初めての方は くわしい手順書④「黒い画面をこわがらない」 をどうぞ。コピペだけで進めます。

cd <あなたのVault>
python3 scripts/okf_lint.py

「違反なし」と出れば、骨格は健全です。追加のインストールは要りません。

なぜ必要? — この検査は、実名の混入や必須項目の欠落を機械的に見つけます。人の注意力に頼らずに済ませるための仕掛けです。AI も、新しい会話を始めるたびにこの検査を自動で実行します(AI への指示書に組み込まれています)。

5-2. お子さんを登録する

AI にこう話しかけてください。

「子どもの記録を始めたい。名前は◯◯、生まれは◯年◯月」

AI が、お子さんのページを作り、年齢イベント表docs/年齢イベント表.md)に生年月を登録して、これから12ヶ月のあいだに窓が開く制度のイベント(就学相談・手帳の再判定・18歳・20歳の手続きなど)を一覧で見せてくれます。

5-3. 記入例を眺めてみる(5分・おすすめ)

記入例/ フォルダに、架空の子ども2人(5歳の「そら」さん・16歳の「かえで」さん)の記録が丸ごと入っています。最初に 記入例/0_この記入例について.md だけ読んでください。たくさんファイルがありますが、親が作ったものは一つもない(すべて AI が日記から編んだもの)ことが分かります。不要になったらフォルダごと削除できます。

5-4. ここまでで出来たこと

全部に印がついたら、導入は完了です。あとは今夜、今日のことを1行話すだけです。


第3部 使う

第6章 毎日の使い方 — 話すだけ

6-1. 夜、AI にひとこと話す

「今日こんなことがあった。おやつのとき、クッキーとゼリーを見せたら、ゼリーの方をじっと見て手を伸ばした」

AI はこれを聞き分けて、こう返します。

「今日の日記にこう書きます——あったこと: おやつでクッキーとゼリーを提示。ゼリーを注視し手を伸ばした。——よろしいですか?」

「いいよ」で書き込まれます。これで今日の記録は終わりです。

6-2. 書類が来たら、受付箱に入れる

連絡帳の写真を撮って受付箱に入れる。もらったプリントをスキャンして(または写真で)入れる。それだけです。スマホで撮ったものをそのまま受付箱に届ける設定は くわしい手順書⑤ にあります。急いで AI に伝える必要もありません——月に一度の整理(第7章)のときに AI がまとめて仕分けます。すぐ相談したいことなら、チャットで「受付箱に入れた連絡帳、見て」と頼めます。

6-3. 話すことが浮かばない日のヒント

無理に探さないでください。それでも何か残したい夜は、この3つのどれかが種になります。


第7章 月に一度、AI がやること

7-1. 定期整理(ingest)とは

月に一度(設定した周期で)、AI がその月の日記と受付箱の書類をまとめて読み、整理の宣言をします。

「7月の日記と連絡帳から、次のように整理します—— ・7/8 おやつの二択 → せんたく(選択の記録)として1ページ ・ドライヤーを浴室の外でかける工夫 → 手順書として1ページ ・『三択はまだ難しいのかも』(おもったこと欄)→ ページにはせず日記に留めます ——よろしいですか?」

あなたは見て、「いいよ」か「そこは違う」と答えるだけです。承認したものだけがページになります。

自動で起動する設定(スケジュールタスク)は docs/導入手順.md Step 5 にあります。設定していなくても、「今月分を取り込んで」と頼めばいつでも実行されます。

7-2. 写真で入れた書類はどうなるか

受付箱に入れた連絡帳の写真は、棚に移されると同時に、AI が読み取ったテキストを原本の隣に置きます

2026-07-08_連絡帳.pdf                  ← 原本(あなたが撮ったもの。ずっと残ります)
2026-07-08_連絡帳.pdf.読み取り.md       ← AI が読み取った文字

写真のままだと後から探せないからです。「去年の運動会は何と書いてあったか」を検索できるようにし、実名の混入を機械が検査できるようにするための一手間です。

読み取りには誤読が混じります。 手書きの崩れた字、逆光で飛んだ行——AI は読めなかったところを想像で埋めず 〔判読できず〕 と書きます。そして記録のもとになるのは常に原本であって、読み取りではありません。もし読み取りを見て「ここは違う」と気づいたら、AI に伝えてください。訂正として書き足されます(もとの行は消しません。読み違えの癖が、次の読み取りの手がかりになるからです)。

これは日記で「あったこと」と「おもったこと」を分けているのと、同じ考え方です。混ざると、後から誰も解きほぐせなくなる——だから分けておきます。

7-3. 「おもったこと」はどうなるか

原則、日記に留まります。ページには編まれません。ただし、支援のうえで意味を持つ思い(大事な変化への気づき・方針の迷い)は、AI が「これはページに上げますか?」と確認待ちに載せることがあります。決めるのはあなたです。上げる場合も「外に共有しない」印(origin-only)が付くのが基本です。

7-4. 整理の締めに聞かれること

7-5. 積み重ねの先にできるもの — 「こえ」

せんたく(選択の記録)とためしたこと(試行錯誤の記録)が溜まってくると、AI がこえのプロファイルの作成を提案します。「はい・いいえ・嫌をどう表すか」「どう示せば伝わりやすいか」「誤解されやすいサイン」——このページが、バイブルの心臓です。初めて会う支援者が最初に読むべき1枚に育っていきます。

7-6. 「いつからそうなの?」と聞かれる理由

記録には二つの日付があります。その事実がいつから当てはまっているかと、それをいつ書いたかです。「7/16 から浴室の外でドライヤーを使うようにした」のように、あなたが決めたことや節目の出来事に由来する記録については、AI が「いつからと書いてよいですか?」と確かめることがあります。答えられる範囲で答えてください。分からなければ「分からない」で構いません——空欄のままでよいのです。


第8章 読み返す・支援者に渡す

8-1. 聞けば出てくる

AI に日本語で聞くだけです。

「この3ヶ月で、この子が自分で選べた場面を一覧にして」 「苦手のきっかけと、その根拠になった日記を見せて」 「新しい放デイの先生に渡す紹介資料を作って」

8-2. 意思決定支援ブリーフ

新しい支援者・担任・相談支援専門員に渡す1枚を、AI が「こえ+直近のせんたく+関わり方のこつ」から編みます。渡してよい情報だけが機械的に選ばれます——「おもったこと」由来の記述や、外に出さない印のついたページは、仕組みのうえで決して含まれません。

8-3. 相談支援専門員がいる場合

相談支援専門員側にも、この仕組みの姉妹版(oya-inai-keikaku-soudan)があります。両方が使われている場合、記録は互換の形で行き来できます(対応表は docs/連携マッピング表.md)。親が関われなくなったときに全部を引き継ぐ道も、同じ表に定義されています。


第9章 お子さん自身の参加

この記録の主人公はお子さんです。成長に合わせて、少しずつ本人に返していきます。

時期 参加のかたち
幼児期 作品や写真で「あなたの記録」に親しむ
学齢期 読み聞かせて、違っていたら直してもらう
思春期 「書かれたくないこと」の意思を明示的に確認し、尊重する
移行期〜 本人が読み手・共同編集者になる
最終的に 所有権ごと、本人(と本人が選んだ支援者)へ渡す

すべての記述は「成人した20年後の本人の前で読み上げて恥ずかしくないか」を基準に書かれます。AI もこの基準で書きます。


第4部 守る・直す

第10章 個人情報を守るための約束

10-1. 実名はどこにあるか

場所 実名 説明
raw/(日記・書類の原本) あり ここだけです
wiki/(整理されたページ) なし P_001 のような記号で書かれます
受付箱 一時的にあり 棚へ移れば空になります

機械検査がこの境界を見張ります。wiki/ に実名が混ざると ERROR になり、保存操作が止まります。

10-2. 親の約束は4つだけ

  1. 外に漏れる道を断ってから使う(第3章 3-3)
  2. 原本(raw/ の中身)を自分で書き換えない・消さない(訂正は「今月の日記に書く」が正しい形です)
  3. 受付箱に置いたものは、AI の仕分けに任せる
  4. 画面を人に見せるとき・研修等で例を示すときは、記入例/ を使う(架空の子どもです)

10-3. AI に送られるもの

AI に話した内容と、AI が読んだページは、その AI の会社のサーバーに送られます。だからこそ第2章 2-3 の確認(学習に使われないこと)が導入の条件でした。家族以外(配偶者・祖父母等)がこの Vault に触れる場合は、同じ条件の AI 環境を使ってもらってください。

10-4. もし情報が漏れたら

まず経路を止める(公開先を外す・共有を解除する)。次に何が出たかを特定するraw/wiki/ のどちらか、どの範囲か)。raw/ は追記専用なので、何がいつ入ったかは追えます。


第11章 トラブルシューティング

11-0. まず AI に聞いてみる

エラーの文字が出たら、意味を考える前に、そのまま AI に貼り付けてください。 英語でも、長くても、途中で切れていても構いません。

「このエラーが出ました。何が起きていて、次に何をすればよいか教えてください。(ここにエラーの文字を貼る)」

症状 頼み方の例
検査(lint)が ERROR を出した 「この ERROR の意味と、直し方を教えてください」
保存が止まった(関所) 「関所に止められました。何が引っかかっていますか」
どのページに何があるか分からない 「index を見て、いまある記録の全体像を教えてください」
何が原因か分からない 「このマニュアルの第11章を見ながら、一緒に原因を探してください」

11-1. まず試すこと

Obsidian を閉じて開き直す。AI のアプリを完全終了して起動し直す——Mac は command + Q、Windows は画面右下の「^」印の中の Claude アイコンを右クリック→終了(見つからなければ Ctrl + Shift + Esc のタスクマネージャーで「Claude」を全部終了。くわしくは手順書③)。多くの不調はこれで直ります。

11-2. 検査が ERROR を出すとき

出力メッセージが対処を書いています。よくある原因: wiki/ に実名が入っている(→記号に置き換える)/必須の日付や ID が抜けている(→ AI に「直して」と頼む)。ERROR は機微情報が漏れる危険があるときに出ます。解消するまで保存は通りません。これは故障ではなく、仕様です。

11-3. 過去の日記を直したくなったとき

月が終わった日記は凍結されていて、AI も書き換えません。今月の日記に「◯月◯日の件、実は…」と話してください。 それが正しい訂正の形です。当時の記録と訂正の両方が残ることに、価値があります。

11-4. AI がフォルダを見てくれないとき

  1. 完全終了していない — いちばん多い原因です。ウィンドウを閉じただけでは終了していません。特に Windows は、アイコンが「^」印の中に隠れたまま動き続けます(確実な終了は手順書③
  2. フォルダの指定が違う — AI に「いま見えているフォルダを教えてください」と聞く
  3. 受付箱を Vault の中に作ってしまった — 外に作り直してください(第4章 4-1)

11-5. それでも解決しないとき

docs/導入手順.md の「困ったとき」と、配布元の Issue をご覧ください。このテンプレートはβ版で、子育ての実感に合うかは検証の途中です。違和感があれば、それはあなたが正しい可能性が高いです。


付録

付録A フォルダの地図

あなたのVault/
├── raw/                   原本の置き場(実名あり・書き換えない)
│   ├── 10_日記/           ★心臓。チャットで話した日記がここに溜まる
│   ├── 20_園・学校・療育から/  30_事業所から/  40_医療から/
│   ├── 50_行政・制度/  60_本人の表現/  70_会議・面談/  90_assets/
├── wiki/                  AI が編んだページ(記号で書かれ、承認後に作られる)
├── templates/             ページの雛形(AI が使う。親は触らなくてよい)
├── 記入例/                架空の子ども2人の実例(削除可)
├── docs/                  このマニュアル・年齢イベント表・制度ウォッチ台帳など
├── scripts/  githooks/    検査と関所
├── index.md               全ページのカタログ
└── AGENTS.md              AI への指示書(正典)

デスクトップ/
└── 📮受付箱/              ← 書類はここに置くだけ(Vault の外)

付録B ページの型一覧

AI の整理宣言に出てくることばです。覚える必要はありません——分からなければ AI に聞けば説明します。

よみ 何が書かれるか
こえ(意思表出プロファイル) はい・いいえ・嫌をどう表すか。バイブルの心臓
せんたく(選択の記録) 選んだ・拒否した・表明した場面。日記から AI が拾う
ふしめ(節目の記録) 就学・卒業・18歳など。当時の判断の過程を残す
ためしたこと 試した関わり方と結果。失敗の記録こそ価値が高い
手順書 「こうすればうまくいく」と分かった関わり方
きっかけ 好き・苦手が発動する条件
ひと 本人・家族・関わる人のページ
かかわり先 園・学校・事業所・窓口
とりあつかい注意 特に慎重に扱う記録(性・行動など)
確認待ち AI があなたの判断を待っている項目

付録C 用語集

ことば 意味
Vault Obsidian が扱うフォルダ1つ分。ここでは記録の入れ物
受付箱 書類をいったん置く、Vault の外のフォルダ。書類の唯一の入口
MCP(差込口) AI とパソコンのフォルダをつなぐ仕組み
lint(検査) 実名の混入や項目の欠落を機械的に見つける検査
関所 危ない保存操作を止める仕掛け
ingest(定期整理) AI が月に一度、日記と書類をページに編む作業
仕分け宣言 AI が「こう整理します」と先に示すこと。違っていれば訂正できる
凍結 月が終わった日記が書き換え不可になること
origin-only 「外に共有しない」印。おもったこと由来のページに付く既定

付録D 関連ドキュメント

文書 内容
docs/導入手順.md 短い版(約30分)。手順だけを追いたい方へ
docs/年齢イベント表.md 何歳のときに何の制度が来るかの台帳
docs/意思決定支援者のための読み方.md 記録を読む支援者向けのガイド。渡すときに一緒に渡してください
docs/連携マッピング表.md 相談支援専門員側の仕組みとのつながり方
docs/watchlist.md 制度改正を見張る台帳
purpose.md この仕組みが何のためにあるか(魂)。一度は読んでほしい文書です
記入例/0_この記入例について.md 記入例の読み方

この版で確かめてあること・いないこと

仕組みは検証済み・実務適合は未検証です。当事者の親御さん・意思決定支援者のレビューを経て育てていきます。


β版 2026-08-13 初版・2026-09-05 更新 / 親がいる今 / 特定非営利活動法人 nest / MIT License