朝いちばん、会議の資料を刷ろうとしたら、コピー機がピタッと止まった。画面には見慣れない文字——「E-052」。説明書は……どの棚だっけ。そもそも説明書のどこを見ればいいのか、それも分からない。
今日ご紹介するのは、そんなときの いちばん手軽なAIの使い方 です。準備はスマホひとつ。読み終わるころには、「AIって、文字を打って使うものでしょう?」という思い込みが、いい意味でほどけているはずです。
コピー機が「E-052」というエラーで止まってしまって……。説明書がどこにあるか分からないし、AIに聞くにしても、この状況を文章でどう説明すればいいのか。
説明しなくていいんです。その画面を スマホで撮って、私に見せてください。添えることばは「どういう意味? まず何をすればいい?」だけで通じます。——私とのやりとりは文字だけ、と思っていませんでしたか? 私には、目もあるんですよ。
発想の転換 ― “文字起こし”は、いりません
まじめな人ほど、AIに聞く前にこう考えます。「ええと、コピー機の画面に E、ゼロ、5、2 と出ていて、その下に小さい字で何か書いてあって……」——目の前のものを、いったん 文字に置き換えてから 渡そうとするんです。
実は、その置き換えこそが、いちばん大変で、いちばん間違えやすい仕事です。そしてそれは、AIに任せられる仕事でもあります。
たとえるなら、お医者さんに電話で「ここが赤くなっていて、大きさは1センチくらいで……」と症状を説明するのと、診察室で患部を直接見せるのと、どちらが早くて正確でしょうか。見せれば一瞬です。AIも同じ。文字にする前に、写真ごと渡す。これだけで、説明のうまい下手は関係なくなります。
やることは3つだけ。撮る → ひとこと添えて送る → 返ってくる。ここからは、事業所の日常にありそうな場面で、実演を3連発でお見せします。
実演その1 ― 機器のエラー画面
まずは冒頭のコピー機から。エラー画面を撮って、こう送ります。
うれしいのは、写真には 機種名やパネルまわりも一緒に写り込む ところです。文字で「コピー機がエラーで」と伝えるより、AIはずっと具体的に答えられます。エラーコードを打ち間違える心配もありません。
写真の貼り方は、役所からの手紙の回でご紹介したとおり、LINEで家族に写真を送るのと同じ操作です。文字を打つ欄のそばの「+」やクリップ、カメラのマークを押せば、撮った写真を選べます。
実演その2 ― 手書きの回覧・掲示物
「印刷された書類は読めても、手書きはさすがに無理でしょう」——いいえ、手書きこそ見せてください。多少の達筆でも、案外ちゃんと読みます。
ここでのコツは、頼み方にあります。「読んで」ではなく 「日付と持ち物だけ抜き出して」。知りたいことを指定すると、長いお知らせが、手帳にそのまま書ける数行に変わります。
実演その3 ― 食品の表示ラベル
最後は、あの裏面の小さい字です。老眼鏡を出すより、撮ったほうが早いかもしれません。
※ここまでの3つの実演に出てくるAIの回答は、使い方をお見せするための 例 です。実際の答えは、写した機器やお知らせ、商品ごとに変わります。
そして大事な注意をひとつ。アレルギーのような 命や健康に関わる確認 では、AIの答えは「最初のふるい」にとどめてください。AIは細かい字を読み違えることもあります(鵜呑みにしないの回)。最後はかならず、ラベルの現物をご自分の目で——迷うときは専門職への相談を。この順番だけは守ってください。
あんしん ― 撮っていいもの、ダメなもの
さて、この記事でいちばんお伝えしたいのが、ここです。「なんでも撮って見せればいい」となる前に、線引き をはっきりさせておきましょう。
ダメな側を、ことばでも確かめておきます。利用者さんやご家族、職員の顔が写るもの。氏名の書かれた書類。服薬や健康にかかわる情報。支援記録。これらは、どんなに「AIに整理してもらえたら便利なのに」と思っても、チャットに送らないでください。AIに写真を送ることは、事業所の外に写真を出すこと だからです(くわしくは個人情報の線引きの回)。
見落としやすいのが 写り込み です。掲示板のお知らせを撮ったつもりが、隣に貼ってあった当番表の名前まで写っていた——ありがちです。送る前に、写真の四隅までさっと見る癖をつけてください。
それでも迷ったら、この一言で判定を。「その写真、事業所の外の人に見せられるか?」——見せられないなら、撮らない。これだけです。
コツ ― 「これ何?」より、聞きたいことをひとこと
写真だけ送って「これ何?」と聞いても、AIは答えてくれます。でも、それだと「コピー機ですね」と返ってくるかもしれません。写真に、聞きたいことをひとこと 添える。これだけで答えの精度がぐっと上がります。
お気づきでしょうか。これは頼み方の回でお話しした「背景・お願い・条件・形式」の4点セットの、いちばん小さな形です。写真が背景の説明をぜんぶ引き受けてくれるので、あなたはお願いをひとこと言うだけでいいんです。
Geminiでも ― 操作は同じです
今日の使い方は、Geminiでもそのままできます。文字を打つ欄のそばにある「+」や画像のマークから写真を選ぶ——操作はまったく同じです。さらに、写真1枚ではなく「動かしながら見せたい・会話しながら見せたい」場面なら、カメラを向けたまま相談できるライブカメラの回もどうぞ。
ひとこと: 「AIは、文章の得意な人が使うもの」と思っていた方へ。むしろ逆です。ことばにするのが難しいものこそ、AIに向いています。目の前の困りごとを、説明できた分しか相談できない——そんな遠慮は、今日でおしまい。説明の言葉が見つからないときほど、思い出してください。文字にする前に、写真で見せる、です。
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