行事のお知らせを一枚作る。それだけのことに、Word を開いて、字の大きさを変えて、余白を直して、印刷したら2枚目に一行だけはみ出して、また直す。心当たりのある方は多いと思います。この記事は、その一枚を AI に頼んだ実例です。ただし今回は、一回目でうまくいかなかったところまで含めて載せます。
うまくいった頼み方を、そのときの文面と、返ってきたものごと一つずつ並べる特集です。これがその4。
- その1 答えは、動く図でください ― 「図(HTMLが良い)」の一言
- その2 研修資料を、押すと答えが出るクイズに
- その3 利用者向けの手順を、紙芝居に
- その4 お知らせを、A4一枚の掲示物に ― 一回目ははみ出した
- その5 nest-newsのトピックコーナーの成年後見制度改正の解説ができるまで ― お願いの合わせ技
音楽会のお知らせを入口に貼りたいんです。字は大きく、ふりがなも付けたい。でも Word だと、いつも余白で泣かされて……。
日時・場所・料金・申し込み先を、文章で渡してください。「A4一枚で印刷できる形(HTML)で」と添えてもらえれば、開いて印刷ボタンを押すだけの一枚にします。ただし——印刷プレビューは、見てくださいね。
お願いした文面(そのまま)
題材は、実際に開かれる木町家の秋の音楽会です(告知記事)。日付や電話番号はすべて本物なので、記事の内容と突き合わせて確かめました。
内容:木町家 秋の音楽会「風と歌とピアノと」。2026年10月17日(土)、17時開場・17時30分開演(19時20分終演予定)。会場はキッチン&マルシェ 木町家。料金2,500円(税込)、木町家手作りパン&ドリンク付き。40名様限定、定員になり次第締め切り。出演はホルン・テノール・ピアノ。お申し込みは電話 093-592-0331(10時〜17時)。
一回目に返ってきたもの ― 立派。でも、はみ出した
返事の一行目は、こうでした。
お店の入口用に、A4一枚・大きな字・総ルビのお知らせを作りました。下の HTML をそのまま
.htmlファイルとして保存し、ブラウザで開いて「印刷」(用紙 A4・余白なし・背景のグラフィックを印刷ON)にすると一枚に収まります。
茶色と生成りの二色、二重線の枠、日付が大きな帯、開場・開演・終演が三つの箱。すべての漢字にふりがな。見た目は文句なしでした。ところが、印刷プレビューにすると——
「40名様限定」と「お申し込みの電話」が、枠の外に落ちていました。 いちばん大事な二段が、2枚目です。会場の「キッチン&マルシェ」も、「エ」だけ次の行にこぼれていました。AI は「一枚に収まります」と書いてきましたが、収まっていなかった。
ここで大事なのは、これは失敗ではなく、普通のことだという点です。Word で作っても一回ではみ出す。AI でも同じです。違うのは、直し方。Word なら自分で余白と字を触る。AI なら、何が起きたかを一言で伝えるだけです。
もう一言 ― 差し戻しの文面(そのまま)
言っているのは三つだけです。何が起きたか(下の二段がはみ出して2枚目)、どうしてほしいか(一枚に収める)、守ってほしいこと(字は大きいまま)。直し方は指定していません。
二回目に返ってきたもの ― 収まった
返事は、まず何を変えたかから始まりました。
印刷プレビューでの2枚目はみ出しと「キッチン&マルシ/エ」の改行、両方直しました。字の大きさはほぼ維持したまま、縦方向の無駄(会場・料金・出演・定員がそれぞれ別の大きな箱だった部分)を1つの一覧枠にまとめて、A4一枚に収めています。
AI がやったのは、題名を二行から一行に、四つの大きな箱を「見出し+中身」の四行に、そして「絶対に2枚目に送られないように」用紙の高さを固定すること。こちらは「収めて」としか言っていません。どう収めるかは、AI が考えました。
どこが効いたのか ― 依頼文の解剖
「お知らせを作って」ではなく、貼る場所を言っています。入口に貼るなら、遠くから読める字、目立つ日付。AI の一回目が日付を大きな帯にしたのは、ここが効いています。
今回の主役です。「A4」と「印刷」を言ったので、AI は紙の大きさを決めて組みました。「HTML」と言ったので、ブラウザで開いて印刷ボタンを押すだけの形になりました。Word のファイルを頼むこともできますが、HTML は 開くのに何も要らないのが強みです。
総ルビは、この一言で出てきます。「木町家」の読みを AI が「きまちや」と当ててきましたが、返事の補足で「読みが違う場合は書き換えてください」と自分から断っていました。固有名詞の読みは、必ず確かめてください。今回は合っていました。
日付・曜日・時刻・料金・定員・電話。すべてこちらが渡しています。 AI に調べさせていません。お知らせの中身を AI に考えさせないのが、間違いを入れないいちばんの方法です。
「直して」だけでは、AI は何を直せばいいか分かりません。どこが、どうなったかを一文で伝えると、一回で直ります。「字はなるべく大きいまま」と守ってほしいことを添えたので、字を小さくして逃げる直し方にはなりませんでした。
印刷する前に、必ず見るところ
- 印刷プレビューで、枚数を見る。 「1/1」なら一枚。「1/2」なら、はみ出しています。
- 曜日。 今回の10月17日は土曜です。AI は曜日を間違えることがあるので、渡す前にカレンダーで確かめてください。渡した曜日が間違っていれば、AI は間違ったまま大きく印刷します。
- 電話番号と料金。 渡した数字がそのまま出ているか、一桁ずつ。
- 固有名詞の読み。 ふりがなは AI の当て推量です。
- 背景色。 ブラウザの印刷設定で「背景のグラフィック」をオンにしないと、色の帯が白く抜けます。AI の返事の補足にも書いてありました。
向くもの、向かないもの
- 向く — 行事のお知らせ、休業日の掲示、持ち物の案内。一枚で完結し、貼って読むもの。
- 向かない — 何枚も続く冊子(ページの割り付けは HTML より Word が得意)。細かい様式が決まっている書類(役所に出す届出など)。
出てきた HTML の、開き方
その1のとおりです。ファイルにして保存しておけば、来年の音楽会は日付と出演だけ書き換えて使えます。書き換える場所が分からなければ、そのファイルを AI に貼って「日付を◯月◯日に変えて」と頼めば済みます。
こんな風に応用できます
型はこうです。どこに貼るか → A4一枚で印刷できる形(HTML) → 字とふりがな → 中身を文章で全部 → はみ出したら、何が起きたかを一言。
一回目で決まらなくても、二回目で決まる。AI への頼み方は、一往復ではなく、二往復までが型です。