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nest-newsのトピックコーナーの 成年後見制度改正の解説ができるまで ― お願いの合わせ技 ―

その1からその4まで、一回のお願いで返ってくるものを見てきました。この記事は、今回の分の締めくくりとして、お願いを二回つなぐ話です。このサイトのトピックコーナーの第1回、成年後見制度の改正の解説は、二本のお願いだけでできています。一本目で材料を作らせ、二本目でその材料の使いみちを言う。それだけです。

🗣 特集・こんな風にお願いするといいよ

うまくいった頼み方を、そのときの文面と、返ってきたものごと一つずつ並べる特集です。これがその5

  1. その1 答えは、動く図でください ― 「図(HTMLが良い)」の一言
  2. その2 研修資料を、押すと答えが出るクイズに
  3. その3 利用者向けの手順を、紙芝居に
  4. その4 お知らせを、A4一枚の掲示物に ― 一回目ははみ出した
  5. その5 nest-newsのトピックコーナーの成年後見制度改正の解説ができるまで ― お願いの合わせ技
🙂

成年後見の法律が大きく変わると聞いて、ホームページで解説したいんです。でも「調べて、分かりやすく、条文も比べて、記事にして」を一度に頼んだら、どれも薄くなりそうで。

🤖

それなら、二回に分けてください。一回目は調べて、図と条文の差分にまとめるところまで。返ってきたものを見て、納得したら、それを私に渡して「これを使って記事に」。材料と用途を分けると、どちらも濃くなります。

一本目のお願い(そのまま)

一本目に送った依頼文(原文のまま) 成年後見制度が大きく変わります。どのように変わるのか調査して一般人でもわかるように図を駆使するなどして説明して下さい。また、説明にあたっては具体的な条文の差分もわかりやすく示して下さい。

これだけです。相手は、Web を検索できる AI です。「調査して」と言ったので、AI は法務省の公表資料を探しに行き、「図を駆使」と言ったので図を描き、「条文の差分」と言ったので新旧の条文を並べました。返ってきたのは、一枚の HTML でした。

一本目の返事として返ってきた解説ページの実画面。題名「成年後見制度はこう変わる」、法律名と成立・公布日、施行スケジュール、「1. 全体像 ― 3つの類型が1つになる」の見出しと、現行の後見・保佐・補助の三つの箱が改正後の「補助」一つに矢印でまとまる図、その下に「条文で見ると」の見出しと新旧対照の表の先頭
▲ 一本目の返事。上から題名、施行の予定、全体像の図、条文の新旧対照、と続きます(AI が出したページの実画面)

中身は、全体像の図、権限の組み立ての図、利用期間の比較の図、施行時の経過措置の分岐図の四つと、改正後と現行の条文を左右に並べた新旧対照。脚注には法務省の資料の出典が書かれています。ここで一度、止まります。 返ってきたものを読み、条文を確かめ、納得してから、次へ進みます。

二本目のお願い(そのまま)

一本目の返事を、ファイルとして保存しておきます。それを二本目のお願いに添付します。

二本目に送った依頼文(原文のまま。ファイルの置き場所だけ省略) 「nest-news」ページの中にトピックコーナーを新設して法律改正や制度改正について説明するセクションを設けます。そのトップバッターとして成年後見制度が大きく変わることを取り上げたい。(添付したファイル)に具体的にどのように変わるのかなどについて条文の差分を含めてまとめているので、それを使って記事にして下さい。

返ってきたのが、いま公開されているトピック記事です。一本目の図と条文の差分が、サイトの記事の形に組み直されています。

このサイトの場合、二本目の相手はサイトの中身を直接書ける AIでした(相棒編で紹介した使い方です)。そこまでしなくても、この型は使えます。二本目を「これを使って、家族向けの回覧文にして」「これを使って、職員研修の資料にして」「これを使って、A4一枚の掲示物にして」と言い換えれば、ふつうのチャットで同じことができます。

どこが効いたのか ― 二本の依頼文の解剖

一本目は、材料を作らせる文です。

① 「調査して」 「どのように変わるのか調査して」

この一言で、AI は自分の記憶で答えるのをやめ、外へ探しに行きます。法律の改正のように、AI の記憶より新しいことを聞くときは、必ずこれを言ってください。言わなければ、AI は古い知識で堂々と答えます。

② 相手と、見せ方 「一般人でもわかるように図を駆使するなどして説明して下さい」

読む人(一般人)と、手段(図)を言っています。図の四つは、ここから出ています。

③ 根拠の出し方を指定する 「具体的な条文の差分もわかりやすく示して下さい」

ここが一本目の主役です。「分かりやすく説明して」だけなら、AI の言葉による要約が返ってきます。それでは確かめようがない。「条文の差分」と言ったので、改正後と現行の条文が左右に並び、どこが変わったかを原文で追えるようになりました。分かりやすさと、確かめやすさを、両方頼んでいます。

二本目は、用途を言う文です。

④ どこに、どういう位置づけで 「『nest-news』ページの中にトピックコーナーを新設して……そのトップバッターとして」

置き場所と役割を言っています。「記事にして」だけなら、どこにでも載りそうな文章が返ってきます。「新設するコーナーの第1回」と言ったので、コーナーの説明から始まる記事になりました。

⑤ 材料を渡して、「それを使って」 「(添付したファイル)に……まとめているので、それを使って記事にして下さい」

二本目の主役です。一本目の返事を、そのまま材料として渡しています。 これがないと、AI は二本目でもう一度、一から調べて考え直します。同じ結論になる保証はありません。「それを使って」と言うことで、一本目で確かめた中身が、そのまま記事の土台になります。

なぜ、二回に分けるのか

一度に頼むと、AI は「調べる・図にする・条文を比べる・記事にする」を一息でやろうとして、どれも浅くなります。二回に分けると、一回目の返事を読んで、確かめて、納得する時間が、あいだに入ります。合わせ技の要は、AI の技ではなく、この「あいだ」です。

この記事の元になった一本目の返事は、条文を一つずつ、法務省の新旧対照条文と突き合わせて確かめてから、二本目に渡されています。AI が出した条文は、材料です。材料の検品は、人の仕事です。法律や制度の話では、ここを省かないでください。

向く話、向かない話

  • 向く — 法律や制度の改正、新しいサービスの仕組み、複数の資料にまたがる説明。つまり「調べる」と「まとめる」が両方要る話。
  • 向かない — 一本で済む短い話。調べる必要のない、手元の資料だけで完結する話(その2のクイズがそうです)。

注意

  • 「調査して」の返事は、出典を見る。 一本目の返事の脚注に出典があるか。なければ「出典を付けて」と頼む。
  • 法律・制度は、原典で確かめる。 条文は e-Gov 法令検索、改正の内容は所管省庁のページ。AI の新旧対照は、確かめるための入口であって、答えではありません。
  • 数字と日付は、いつ時点かを見る。 利用者数や施行の予定は、時点で変わります。一本目の返事に「◯年◯月末時点」と書かれているか。
  • 二本目に渡すのは、確かめた後。 納得していない材料を渡すと、間違いがそのまま記事になります。

こんな風に応用できます

型はこうです。一本目:調査して → 相手と見せ方 → 根拠の出し方。(読んで、確かめる。)二本目:どこに、どういう位置づけで → 材料を添付して「それを使って」。

例1:一本目(制度の改正) 障害福祉サービスの報酬改定で、就労継続支援B型がどう変わるのか調査して、事業所の職員でもわかるように図を使って説明してください。あわせて、変わった項目の新旧を表で示してください。出典も付けてください。
例2:二本目(用途を言う) 添付したファイルは、報酬改定の変更点をまとめたものです。これを使って、職員会議で配る A4 二枚の資料にしてください。一枚目に変わった点、二枚目に現場で気をつけること。
例3:二本目(別の用途) 添付したファイルを使って、ご家族向けの回覧文を作ってください。専門用語は使わず、変わることを三つに絞って、A4 一枚で。

一本目で材料、二本目で用途。あいだに、人の目。今回の分の締めくくりは、この三つです。

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